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口蹄疫発生マップ より大きな地図で 口蹄疫発生マップ を表示 製作:hisa 感染頭数推移 データ倉庫 公的機関の情報 農林水産省 宮崎県公式ホームページ口蹄疫被害に対する義援金 JAグループ宮崎「宮崎の畜産を守る」署名運動 川南町 口蹄疫に関する情報提供について JA宮崎中央ブログ 関連記事 口蹄疫余波で競り中止相次ぐ(中国新聞) 激震口蹄疫(宮崎日日新聞) 「口蹄疫」被害 基幹産業失う恐れすらも(西日本新聞) 関連動画 →その他の動画 関係者のブログ・Twitter 東国原英夫オフィシャルブログ 江藤拓衆議院議員ブログ katsushi yanagawaさんのtwitter 川南町のムッチー牧場ブログ ほっとひと息 it's a small world
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―暑い、暑すぎる― …8月のある日の事、連日続く暑さに耐えきれなくなった俺は、コンビニにガリガリ君を買いに行こうと思い、家を出た。 いつもならこのクソ暑い中、ハルヒの「不思議探索」に駆り出されるのだが、幸いにも今日は休み。さすがのハルヒもこの猛暑にはお手上げらしい。 しかし我が妹には感服する。こんなクソ暑い中、毎日のように友達と遊んでいるらしい。 いやぁ、子供ってのは恐ろしい。 そんな事を考えながら歩いていた俺の目に、とんでもない光景が飛び込ん出来た なんと、我が妹が古泉と肩を並べて歩いているではないか―― なんだ、どういう事だ?訳が解らん。人違いか?そんな筈は無い、妹とは長い間一緒に住んでたんだ、間違える筈がない。 第一、妹は 「友達と遊びに行ってくる~」とか言って家を出ていっていた。 その友達とは古泉の事を言っていたのか? まさか― 何度か古泉を家を入れた事はあるが、妹とは挨拶程度の言葉しか交わしていなかった。 少なくとも、俺の知っている限りでは―― 俺はすぐに問い詰めてやろうと思った。だが魔が刺したんだろう、ちょっくら2人の後をつける事にした。 どうやら2人は公園に向かうようだ。 …にしても…妹の奴嬉しそうだな… 公園についた。 ベンチに座って楽しそうに話してやがる。古泉の糞野郎が― かれこれ30分はたっただろうか―2人はトイレへ向かった。 1億歩譲って、ここまではまだよしとしよう。 だがこの後が問題なのだ。 古泉が妹の後に続いて女子トイレに入っていくではないか 驚愕した 唖然とした 怒りを通り越して呆れた。 あの古泉が、妹の、体を、弄ぼうとしていた。 それを見た瞬間、俺の中のリミッターが全てイカれたように感じた ―もう誰にも止められない― 俺は2人のいるドアを開いた 古泉「キョン君!?」 妹「キ、キョンくん…」 2人は行為の真っ最中だったが関係ない 驚愕の表示を浮かべている古泉をひっぺがし、その万年爽やかフェイスに右ストレートを決めてやった 妹「一樹くん!」 キョン「おい古泉…これはどういう事か説明してもらおうか?」 古泉が頬をさすりながら立ち上がり、ゆっくりと口を開いた 古泉「……どういう事も何もありませんよ。私はあなたの妹さんと性交をしていt ゴッ 古泉の顔に2発目のストレートが決まる キョン「てめぇ…勝手に人の妹に手ぇ出しておいて早々と開き直りか?ふざけるなよ?」 ドゴッ 倒れている古泉の横っ面にヤクザキックを何発もお見舞いしてやる 妹「い、一樹くんは悪くな キョン「お前は黙ってろ!!」 普段絶対に見せない態度に驚いたのか、妹は口を閉じた 倒れている古泉の髪を鷲掴みにし起き上がらせ、 キョン「さっさと説明しろ、何でお前は俺の妹とこんな事をしてたんだ?」 古泉「…妹さんとは約1ヵ月前からお付き合いしていました。」 古泉の話によると、1ヵ月前のある休日に、偶然会った妹と喫茶店に入って話をしたのがきっかけとなり、その後も毎日会って仲良くなり、付き合いだしたそうだ。 古泉「…バイトがあると言って部活に参加しなかった内の約半分は妹さんと会っていたんですよ」 ドスッドスッ 古泉にボディブローを入れてやる キョン「それだけか?今日初めてヤろうとしたのか?」 古泉「ゲホッゲホッ……そうです…」 キョン「ほぉ。だったらなんで血が出てないんだ?」 古泉「そ、それは……」 ガンッ 俺の膝が古泉の鼻にめり込む ―馬鹿が、「血が出ない人だっているんですよ」とでも言っておけば良かったのに― …俺は散々古泉を傷めつけた後、2人に 「古泉、てめぇには心底失望したよ、団長じゃない俺が言うのもなんだが、お前は二度とSOS団の部活の敷居を跨ぐな」 と言い放った 妹には 「お前はそんなに古泉が好きなら家には帰って来なくていいぞ。なんなら両親にも話しておくから」 と言っておいた ―結局妹は帰ってこなかった― 親に1から説明しようと思ったんだが、それでは俺までとばっちりを受けてしまいそうだったので、友達の家にお泊まりに行った、とだけ言っておいた ―馬鹿同士で勝手にやってろ― そう思いながらそのままベッドに入った ・・と、思ったら、それは夢だったんだよな・・・。 ま、こんなことがあったら俺も 古泉も困るだろうし。な、古泉。 「そんな夢見るキョン君も変ですよ!
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幼馴染系ベース。 主人公の妹。 主人公のことを慕っていたがあるきっかけにより強く反発するようになる。(具体的にはまだ考えていない) それでも好きなものは好きだが素直になれず結果主人公からの電話を心待ちにしている。 小さい頃主人公が大型犬にじゃれかれるのを見た妹は、主人公が食べられると勘違いしてトラウマになる。以降大きな犬も小さな犬もとにかく駄目。 外部キャラということで紅茶党でも珈琲党でもなく緑茶派。 好物は和菓子系。特に苺大福。 常連・幼馴染と面識アリ。 今は叔父のところに身を寄せている? 両親が今(シナリオ中)どうしているかも要検討。 年齢が未定だけど高3(18歳)に仮設定。 その場合強気・弱気・バカデレがヒロインの場合兄である主人公をロリコン!変態!死ね!などなど罵倒する、かも。妹である自分より年下の彼女だし、ねぇ? 2月に入ると主人公と同じ大学を受けるため、主人公を訪ねてくる?(時期的にシナリオ後日談だけど) 主人公に対して「兄貴」と呼ぶが甘えたりしたい時は「お兄ちゃん」と呼ぶ。 主人公は「お兄ちゃん」と呼ばれた場合に裏があるのではないかと警戒する。 「聡明な妹とヘタレな兄貴」の構図を意識 妹のスペックが高いだけで特別主人公が駄目ということも馬鹿ということでもない
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登録日:2021/10/25(四) 00 00 00 更新日:2024/05/28 Tue 21 47 45NEW! 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 ※18歳未満の方のご利用およびこのページの閲覧をお断りしております。 ※ネタバレあり、利用しているお方はご注意ください。 ※主にPCソフト、抜きゲーしばらく収録なし。 好きな妹キャラに投票してください。 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 谷風 天音 27 (51%) 2 和泉妃愛 6 (11%) 3 在原 七海 6 (11%) 4 皆神沙久耶 5 (9%) 5 内藤 舞亜 3 (6%) 6 天枝 千羽 1 (2%) 7 星継 銀音 1 (2%) 8 氷見山 玲 1 (2%) 9 瀬真 梢 1 (2%) 10 白河 美栗 1 (2%) 11 舞浜 有梨子 1 (2%) 12 巻菱 ナナコ 0 (0%) 13 折原 みさお 0 (0%) 14 森野 小鳥 0 (0%) 15 源 みなも 0 (0%) 16 瓜生 桜乃 0 (0%) 17 遙 叶梨 0 (0%) 18 高城 七七 0 (0%) その他 投票総数 53 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ ▷ コメント欄 [部分編集] 名前 コメント
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月が赤い。 星が紅い。 否。 赤いのは月ではない。 紅いのは星ではない。 赫いのは世界。 右に見える瓦礫も。 左に見える廃墟も。 私の周りにある19の人だった物と辛うじて生きている7人の物から溢れ出た朱で染められたのだ。 「ああ、お腹がすいた」 少し動きすぎたらしい。 魂その物が飢えているようだ。 辺りを見回した。 質は悪いが幸いにして量だけはある。 幸か不幸か高ランクの能力者は生きているようだし。 私は目の前に居た心器使いに近寄る。 「ひ、ひひ……くぁっひ」 魄滅はしていないが現実逃避をしているらしい。 引きつったような泣き笑いがさっきから止まらない。 そんな事は気にせずに私は目の前の心器使いの心器を持っている手を握り――――徐にその刀型の心器をお腹へと挿入していく。 瞬間。 「――――――――ッ!!」 声にならない絶叫を心器使いが上げた。 そんな事は気にせず私は心器の最後の最後、柄の部分まで私自身のお腹へと押し込んでいった。 心器使いは身体中の穴という穴から体液を出しながら痙攣している。 失禁はしていないが。 気が狂ったような笑い声も聞こえない。 完全に魄滅したようだ。 中々の美味だった。 もしかしたら銃器級だったのかもしれない。 まあ、興味無いし確かめようも無いのでどうでもいいけど。 そんな事を考えながら食事を再開する為に私は服を脱ぎ始めた。 アイツのいうとおり私の能力は戦闘には便利だけどその度に服が破けるのは頂けないわ。 そして下着からなにから全てを脱ぎ終えた私は心器使いの身体を右手で持ち上げた。 首で全身の体重を支えているので苦しそうな感じになるが抵抗は全く無い。 そんな心器使いを見ながら私は自分自身の偽身能力を使用した。 口からギシギシと何かが擦れる音が漏れた。 否。 私自身の口は完全に閉じられている。 音が聞こえるのは私の額にある口だった。 その音を皮切りに大きな牙の生えた――――18本の牙が並んでいる――――口が肌にあった。 牙があった。 牙があった。 牙があった。 牙があった。 牙があった。 舌があった。 舌があった。 舌があった。 舌があった。 舌があった。 口があった。 口があった。 口があった。 口があった。 口があった。 牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が、牙が――――! 舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が、舌が――――! 口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が、口が――――!! 全身――――肩に腕に掌に足に胸に腹に背中に――――全身余す所無く。 私の“口”の概念操作によって作り出された――――――――――512の口がそこにあった。 「ぷぎっ」 という音と共に右手が赤く染まった。 どうやら掌の口が心器使いに喰らいついているらしい。 ばりぼり、ばりぼりと喰っている。 心器使いの首を。 ばりぼり、ばりぼりと貪っている。 アイツが居たらなんていうかしら? ふふ、アイツってたまに見当違いな文句をいうから面白いのよね。 でも、まぁ今回はただの文句になるでしょうね。 相変わらず悪食だな。って。 …………お、思った以上にヘコむわね…………。 とりあえず、礼儀としていいましょうか。 「……いただきます」 そしてわたしは腹部にあるさっき心器を喰らった、ひときわ大きな、ひときわ凶悪そうな口に――――その心器使いの躯を押し込んだ。 牙が、躯を、砕く。 潰れて徐々にその形が変形していく。 咀嚼している。 そして数十秒もしない内に『ごっくん』と心器使いの躯を飲み込んだ。 少しはお腹、膨れたかしら? そんな事を考えていたら――――背後から力が溢れた。 「え?」 そんな間抜けな声を出しながら私は後ろへと振り向く。 そこには、この逆心者集団のリーダーである男が立っていた。 「なるほど」 考えてみれば単純な事だった。 敵のリーダーは私が食事に夢中になっている内に静かに魂魄励起をしていた。 ただ――――それだけの事。 それにしても、お仲間が食べられているっていうのに、それを無視して魂魄励起しているなんて 「随分と冷たいのねぇ?」 相手から殺気が溢れる。 その殺気に対して私は笑う。 「死ね」 怒りすぎて逆に冷静になっているね。 その言葉と共に相手は槍の心器を振り上げた。 その延長線上に氷の棘が生えながら迫ってくる。 “凍らす”か“冷やす”辺りの心器かしら? 励起中を差し引いても銃器級としては中々の威力。 惜しむには―――― 「それが当たればねぇ」 氷の棘は私の横を通過した。 どれだけ強大な威力を持とうと当たらなければ意味が無い。 「それで終わり?」 「…………」 無言。 相手は微動だにしない。 「……はぁ、もういいわ」 私が失望と共に相手を食べようと一歩踏み出そうとして――――その一歩が出せなかった。 「え?」 そして私は首の後ろ側を槍の心器で深く深く――――刺された。 だけど心器は首を貫通しない。 「なっ!?」 驚く相手。 それと同時に目の前のリーダーは消えた。 そして、私は手品のからくりを知った。 「なるほどねぇ、つまり貴方の心器は“凍らす”でも“冷やす”でもなくて“止める”心器だったのね? 面白いわ。あの外した攻撃は私と貴方の間にある物質などを“止める”ために放ったのね? 残像や魄冥波動さえその場に“止めて”おいて自分は自分からでる有りとあらゆる情報を出ないように“止めて”の後ろからの奇襲……面白いわ、貴方と同じ心器使いがいたからこの技法、その人に教えて上げようかしら?」 クスクスと嗤う私。 リーダーは心器を必死で抜こうとしている。 けど抜けない。 ギシギシという音が響く。 「まぁ、敗因といえば――――心器使いを食べさせた事でしょうね」 それが無ければ少しはいい勝負になったでしょうに。 「な、なにを……」 「分からない? なら懇切丁寧に説明してあげるわ。私は偽身能力者で操作概念は“口”。そして私の“口”から摂取されたありとあらゆるモノは私の魄啓力となる」 分かるわよね? と私は言う。 相手の顔はドンドン青くなっていく。 何か言おうとしているけど言葉に出来ないでいる。 ギシギシという音が響く。 「魄啓使い同士の戦闘で近距離だろうと遠距離だろうと魄啓を使わない技はないわ」 私は酷く可笑しそうな声色で話す。 相手は能力を行使している。 しかし効かない。 ギシギシという音が響く。 「つまり私は戦闘中に魄啓を枯渇することはまず有り得ない。だってそうでしょ? 相手が魄啓力を消費して攻撃したとしても、その攻撃を私が食べればその消費分私の魄啓力となるのだから」 お分かり? と私は言う。 相手は空気中の物質を“止めて”氷の槍を右手に形成。 私の右脇腹に突き刺す。 しかし貫通しない。 ギシギシという音が響く。 「それで、まだ気づかないの?」 「くっ……なにがだ……」 私は溜息をつく。 ギシギシという音が響く。 「愚に愚を重ねた愚問だわ。貴方、さっきから私を能力で“止めよう”としているでしょ? それでなぜ止まらないと思う? 貴方は励起中の銃器級マイナスといったところでしょ」 「それがどうした」 「…………貴方、思った以上に頭が悪い? いえ能力の応用は悪くは無かったわね。じゃあ回転が遅いのね」 二回目の溜息をつく。 「だから! 何を言っている!!」 「干渉系の能力は相手の魄啓力の差がそれほど無い場合、少しは影響を受けるけど最終的にはレジストされる」 まぁ、私の場合は“口”が能力を食っているんだけどね。 「じゃあ、ほぼ間も無く貴方の力をレジストしている私の位階は?」 これで分からなかったらリーダー失格なんだけど。 どうやら分かったらしい。 顔色は青から蒼白へと変わっていく。 ギシギシという音が響く。 「学園都市内での公式最年少兵器級能力者は14歳位のハズなんだけど、やっぱり非常識よね? 11歳での兵器級能力者。しかもプラスだなんて」 クスクスと私は嗤う。 相手は死に物狂いで心器を動かそうとし、能力を行使し、氷刀などを私に突き刺す。 しかし効かない。 ギシギシという音が響く。 「さてと、それじゃあ――――」 喋りながら私は、心器が刺された傷から段々と牙を生やす。 ――――終わりにしましょう。 その言葉と共にギシギシという音は途絶え。 同時にベキッ、という鈍く、そして澄んだ音が響いた。 「がっ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 断末魔という言葉が相応しい音が口から響いている。 しかし魄滅には至っていない。 ……もしかしたらこの逆心者集団は思っていた以上に粒ぞろいだったのかもしれない。 そんな事を考えながら私は倒れている相手へと視線を下ろす。 顔が真っ青どころか蒼白になっていた。 「お、お前は……一体…………一体何なんだ!?」 吃りながらそんな事を聞いてきた。 そんなことも分からないのかと思いながら私は溜息をついた。 そして私は冥土の土産にその質問に答えた。 「マンイーター」 私は食事を再開した。 こうして水羽市の中堅逆心者集団ファントム・ブレイカーは一夜にして壊滅した。 メンバー全員が捕食という形で。 一夜明けて私は何事も無かったように歩いている。 「さてと、これからどうしようかしら?」 私は少し考え込み、決断する。 「うん、アイツに会いに行きましょう。アイツなら私の服を作れるでしょうし」 そう呟くと私は歩き始める。 目指すはあいつの居る所。 つまりは学園都市だ。 その前に―――― 「まずは腹ごしらえね」 私は近くの食堂へ入った。 その食堂を選んだ理由は簡単だ。 『ジャンボラーメン15分以内完食者賞金1万』 たらふく食べられてしかもお金が貰える。 こんなに嬉しいことはない。 ラーメンは好きだし。 いや、他の食べ物も好きですよ? そんな事を思いながらにやける。 「おじさん、ジャンボラーメン一つ」 おじさんが驚いている。 理由は分かる。 小学生が頼むような量じゃないのでしょう。 「お嬢ちゃん、ちゃんと全部食べられるのかい?」 「ええ、じゃなきゃ頼まないわ」 おじさんが考え込んでいる。 「……よし分かった。待ってな」 おじさんがやっとラーメンを作り出した。 ラーメンを作っているのを見ながら私はアイツの事を考えていた。 どんな事をしているのかは見当つかないが、多分馬鹿騒ぎをしているのは変わらないと思う。 当分暇は潰せそう。 そんな事を考えながら私はラーメンが出来るのを待っていた。 ああ、お腹すいた。 早く来ないかな、ラーメン。 ――――続く?―――― 貪り喰らう魔の獣――――繋場いたち 分類:偽身能力者 固有能力名:イーティングワン 能力内容:“口”の概念操作 能力ランク:兵器級(A+ランク)(魂魄励起“マンイーターカーニバル”により一時的に神話級(S+ランク)) 概要:“口”の概念操作。全身に口、またはそれに属する歯や舌などを自由に作り出せることが可能。作り出した口は何でも(炎などのエネルギーも)喰らい、己の魄啓力に変換する。
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宮崎日日新聞 激震口蹄疫へ飛ぶ(魚拓) 臨時議会を開会。口蹄(こうてい)疫で出荷が滞っている畜産農家への支援策を盛り込んだ本年度一般会計補正予算を可決したほか、口蹄疫の拡大に伴う消毒ポイントの設置や町税条例の一部を改正する条例などの専決処分5件を承認して閉会した。 補正額は4685万円。主なものは7月までの競り中止を想定した飼養経費の補てん費2399万円、消毒ポイントの増設に伴う運営費用2076万円、農業経営の再建や維持安定を目的とした利子補給209万円。総額は49億8399万円となった (2010年5月29日付) 5月 補償
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256 名前:妹朝妹晩 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/06/29(金) 00 31 29.89 ID ZqEP/v7T そして────────夏の夜が来る。 帰宅して、時間を潰して、妹も手伝った夕飯を家族で囲んで、食べ終えたらまた時間を潰して。 合間に家族や妹との会話を挟みながらそんなルーチンを済ませた僕は、 明日は少し早いらしい両親の後、妹より先の順番で浴室にいた。 「・・・・・・」 夏の夜の、こもったような空気の中、シャワーの立てる水音が耳を叩く。 低い天井から投げられる光と、ツルリとした壁に囲まれた視界に、辺りを曇らす湯気はない。 風呂上りにはできるだけ汗を掻かずに済むよう、夏は水風呂に近い温さで浴びることにしていた。 「・・・・・・・・・」 ざっと頭髪を濡らし、シャンプーを塗りこんで頭皮を揉み、泡立て、一日分のケアをしてから十分にすすいで。 一旦シャワーを止め、自分の髪から体から零れ落ちる水滴を見詰める。 軽く頭を振ると、壁に叩きつけられた雫が弾けた。 一呼吸置いてから軽く顔を洗い、何となくさっぱりしたところでまたぬるま湯を止める。 世間では、風呂に入った時にどこから洗うかは色々とパターンがあるらしいが。 僕は(多分)オーソドックスに上から順に済ませる方だった。 ただ、もしも人と違う所があるとするなら。頭、顔ときて最後に。 体を洗う時だと思う。 「────────」 幾つか分けて置かれた石鹸の中から一つを取り、 表皮、正確には垢などを擦るためのネットに入ったそれを手の中で揉み、泡立てて肌に当てる。 ごしごしと。ごしごしと。 利き腕の右で握った石鹸を左腕に当て、肘から肩、手首の間を走らせて更に白い気泡を立てながら、 十分と思ったら肘やその裏、次に手首から先の手に。 引いては押して。 手相などの元になる~線、少しでも汚れの落ちにくい溝になりそうな部分を丹念に擦りたてながら、 指の先、爪の間までを意識して磨き上げる。 左腕が終わったら、石鹸を持ち替えて右腕に。 それが済めば位置を首に上げ、順番に下へと作業場所を落としていく。 首筋を赤くならない程度に擦り上げ、両肩を往復し、 自分ではそう生えていないと思う両脇をしっかりと立てた泡で包み、 体の前面は勿論、背中の方も交互に両手を伸ばして擦っていく。 最低でも、同じ場所を10回は擦るようにして。 「・・・・・・・・・」 他の場所の垢を十分に擦り、必死に立てた泡で一杯に包んで。 残された部分、自分の男性器と周辺を見下ろして手が止まる。 「どうなんだろう」 257 名前:妹朝妹晩 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/06/29(金) 00 34 31.02 ID ZqEP/v7T これが大きいのか小さいのか、形状が普通なのか、自分ではよく分からない。 無修正のAVなんかを見るほどネットにはハマってないし、 これから機会はあるだろうけど高校に上がって今まで、誰かと見せ合ったこともなかった。 男性の魅力か、それに直結する要素の一つではあるらしいけれど。 正直、よく分からなかった。 「・・・・・・」 それでも、洗う。 丹念に、入念に、丁寧に注意深く。 刺激よりも、ただ清潔にすることだけを考えて。 洗って。 洗って、洗って、洗って、洗って、洗って。 洗って、洗って、洗って、洗って、洗って、洗って、洗って、洗って、洗って、洗って、洗って、 洗って洗って洗って洗って洗って洗って洗って洗って洗って洗って洗って洗って────────流して。 もう一度、頭から水のようなお湯を被って、 汚れも泡も何もかもすっかり流されるだけの時間を置いてから、シャワーを止めて全身を見ていく。 一頻(しき)り確認をして、当たり前だが目立った汚れや洗い残しがないことを実感してから、 ようやく人心地がつけた。 「ふぅ・・・・・・はあ」 心なしか酸素の薄く感じられる空気で何度か呼吸をし、握り締めていた石鹸を戻して────────傍にあるスポンジを手に取る。 さっきまでの石鹸とネットのように強烈に垢を落とすのではなく、もっと細やかに柔らかく、肌の汚れを取る物。 掌より大きく厚いそれをぎゅっと握り、シャワーをかけて汚れを取りながら湯に馴染ませていく。 十分に水分を含んだところで軽く絞り、 シャンプーやリンス類のボトル置き場から自分用のボディソープを出して塗り掛け、 奥まで吸ったタイミングで揉み込む。 すぐに泡が立ち始めたので、柔らかな面を肌へ当てた。 そうして、後は先程までの動作をもう一度、今度はゆっくりと優しく繰り返す。 腕を洗う。肘を洗う。手首を洗う。掌を洗う。手の甲を洗う。指を洗う。指先を洗う。爪を洗う。 首を洗う。肩を洗う。鎖骨を洗う。脇を洗う。背中を洗う。胸を洗う。腹を洗う。 尻を脚を、太腿を膝を、脛を脹脛を踝を足を、踵を指を爪を爪先を────────性器を洗う。 スポンジで擦るだけではなく、時には手にボディソープを乗せて、 広げた液を伸ばして馴染ませ、皮膚に直に塗りこんで。 僕は僕の肢体を洗う。 洗浄というよりも、儀式のように。 連日の猛暑と熱帯夜。 猛暑日なんて言葉が流行り、そして定着した夏という季節。 中でも昨年のそれから、僕のこの時期の入浴は長くなった。 原因は、ちゃんと綺麗にしておかないと熱帯夜では寝汗やそれによる臭いが気になるから。 家族にはそう説明しているし、嘘は、言っていない。 ただ、何でそれが気になるのかという、原因の原因を話してないだけで。 男子でも年頃の子にはそういうこともあると、理解されていた。 少なくとも両親────────妹以外には。 258 名前:妹朝妹晩 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/06/29(金) 00 37 50.61 ID ZqEP/v7T 「アニキー」 「!?」 急に、風呂場の外の扉が開く音がして。 妹が────────イスミが、水滴に濡れた扉一枚の向こうに、立っていた。 「どうした?」 当然ながら、浴室の扉は内外を見通せる作りにはなっていない。 だから、びくりと跳ねた僕の背中は見られてないはずで。 平静に努めて、なんとか普段の声で応じられた、と思う。 「いつもよりちょっと長い気がしたから見に来たんだぜ。のぼせたりしてないか?」 「大丈夫だよ。もう洗い終わって上がるところ。待たせた?」 必要がないので、風呂場の向こうの明かりは消えている。 水滴をつけた扉の曇りの先、ぼやけた明かりを受けた影が、ゆらゆらと揺れて首を振った。 「ん。別にアニキの好きに入ってくれていいけど、 アナシも『アニキの後に』早く入りたいからさ。そんだけ」 「悪いね。今出る」 「了解。けど相変わらずアニキは綺麗好きだな」 「・・・・・・ただでさえ朝も夜も暑いし、汗臭いのは嫌だからね」 「アタシはアニキのだったら『汗臭いのも好き』だぜ?」 「僕が気にするんだよ。・・・・・・ん、終わった」 最後にシャワーをさっと浴びて洗浄を終えた。 反転すると、妹が出て行く気配。 扉────正確には二つ折りになる戸────を引き、脱衣所のスペースに出てタオルを手に取る。 (・・・・・・) ちらりと、横にある洗濯籠に目を落として。 風呂場から漏れる薄明かりに照らされた中身の一番上、入る時に脱いだ僕の上着。 そこに何の変化もないことに、今日も安堵する。 そうして夏の夜が深まる。 静寂(しじま)の中で、熱と闇を上げながら。 259 名前:妹朝妹晩 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/06/29(金) 00 41 46.80 ID ZqEP/v7T ぴちゃぴちゃと、音がする。 真夜中の、とうに就寝の時間を迎えた部屋の中。 輝いた陽が熱だけを残して夜に呑まれた、 何処(どこ)をも見えない暗闇に、深夜にあるはずの静寂を破って水音が響く。 シャワーや雨のそれとは違い、小さくゆっくりとした、そして粘着質な液体の混ぜ音。 今日も夕方のニュースキャスターが声高に伝えた、記録的猛暑と熱帯夜の記録に入れられるだろう夏の晩。 夢幻に置いた意識を焙るような熱が、全身を舐めしゃぶる。 粘っこく、偏執的なまでに隙間なく僕を味わう人の舌。 真夏の夜気を思わせるこもった熱を吐き、はふはふと興奮で切れる呼気を漏らす唇から伸びた器官が、肢体を浚う。 つう、と糸を引いた唾液がまた一つ、僕に落ちて広がった。 「ああ、アニキ・・・・・・」 大きく服を乱された体の上から、熱情に焼けた声が落ちてくる。 やがて妹の手によって晒された肌の上に吐息が吹かれ、強く唇の感触が皮膚を這う。 吸い取るように唇がすぼめられて引っ張られると、次いで押し出された舌が兄の上を嘗め回した。 突くように触れさせた舌先を押し広げて回転させると一旦引き、口内に溜めた唾液をまぶして滴らせる。 「寝汗。取らないとな」 余った唾を啜り込む音が響くと、暗い声が静かに部屋の中を這った。 「暑いって、寝汗がひどいって言ってたし。 汗・・・かいたままだと、体に悪いからな。風邪引いたら、困るし。 アニキも困るよな?」 ごしごしと、腕で口を擦ってから呟きを漏らす。 言い終えた唇は、合わさると再び兄の上に戻った。 おそらくはまだ伸びきっていない手指が胸に添わされ、脚がこちらのものへと絡み合わされる。 「それで看病するのも、アタシは嫌じゃないけど。へへ」 兄の体に寄り添った妹が、ふぅふぅと荒い息吹を吹きかけてくる。 くすぐったさを押さえ込み、心臓と呼吸を落ち着かせるのが難しい。 「アニキのため」 「アニキのため」 先に垂らしていた唾液に、また舌が触れた。 舐めるようにして塗り広げ、その上からもう一度舌を乗せて、汚れを取るかのように擦っていく。 徐々に、下へ下へと向かいながら。 「・・・・・・んんっ」 時折、体越しに妹の震えが伝わり、 舌を出す口ではなく、股間の方からも粘った音が聞こえる。 「起きたら汗に濡れてないように。アニキが気持ちよく起きられるように」 薄い寝巻きの上をたくし上げられ、腰からはずり下ろされて。 普通ならどれだけ深く寝ていても起きるだろう、長く執拗な愛撫が続く。 (まだ終わらない、か) 心中で溜息が漏れた。 どうやら、今日も寝苦しい夜になりそうだ。 260 名前:妹朝妹晩 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/06/29(金) 00 45 52.74 ID ZqEP/v7T 切欠は、幾つか前の夏。 続く猛暑による熱帯の夜に襲われるあまり、 ふと『寝汗がひどい。寝苦しくて困る』と、妹の前で漏らしたことによる。 それを聞いた妹は────────イスミは、自分もそうだと同意した後に、 『何とかしようか?』と尋ねてきて。 『出来るなら』、と。まだ妹の異常を完全には把握していなかった、兄の油断が始まりだった。 それから、不思議と寝覚めの悪い、けれど途中で醒めることもないない眠りが続いて。 どんなに暑い夜も、何故か起きた時にはひどい寝汗をかくことがなかった。 それで一つ二つの夏が過ぎ、『盛られ続けた睡眠薬』に慣れと抵抗が出来て、 夜毎の悪夢、妹のしていることに気付けるようになったのが、ようやく去年のこと。 夏の間は毎日毎日、兄の布団に潜り込み、寝具と寝巻きを剥いで、晒した肌を舐めしゃぶる。 唾液を塗布し、舌を出して、緩慢にじっくりと、時間をかけて隅々まで。 垢を舐めるという妖怪のように、兄の身に浮かんだ汗を丹念に舌先で掬い取って。 味わい、飲み込み、熱された吐息を吹いて恍惚に酔う。 最初の覚醒が、薬の効果の抜けきらない金縛りに似た状態でなかったら、 気付いた時の反射的な反応だけで全ては────────少なくとも僕と妹の間の何かは、終わっていただろう。 それくらい、訳が分からなかった。 「頼まれたからな」 こんな呟きを聞かなければ。 「アニキに頼まれたんだから・・・・・・アニキのことを頼まれたんだから、ちゃんとやらないとな」 家の妹に、悪意はない。 兄のことを好きすぎるのも、『他人』に興味がないのも、きっと妹には自然で、意識さえ働かない行為なのだ。 だからきっと、これも同じ。 兄に頼まれたからやる。兄のために。それだけのために。 方法を指定されなかったから、最大限自分にとっても好いようにしているだけで。 そこに悪意はない。 あるのはただ、どうしてこの方法を選んだかの、行為の理由があるだけで。 好意という。 ただそれだけで。それほどの。 「好きだぜ、アニキ」 かふ、と。 熱中のあまりの酸欠を思わせる喘ぎを経て、妹が告げる。 「好きだよ。好きだ。 言えないけど────────アタシは、アニキのことが好き」 夜の告白を、妹は朝には続けない。 何故ならこれは告白ではなく、誰にも聞かせてはいない独白で、 僕が起きているなど、妹は思っていなかった。 「結婚とか、色々とできないけど。 それでも・・・・・・好き」 以前、聞かれたことがある。 『眠っている途中で目が覚めたりしてないか?』と。 妹としても、最初こそ切羽詰った上での暴走だったのかもしれないが、 後で冷静になって流石にマズイと思ったのだろう。 それは、そんなに張り詰めてしまうまで想いをひた隠しにしてきたということでもあるが。 普通は、死にかけてでもいない限り、毎夜こんなことをされていれば幾らなんでも起きるから。 何をどう調達して使ったのかは知らないが、 妹の盛った薬にも耐性のつくことが記してあったか、自分で調べでもしたのかもしれない。 261 名前:妹朝妹晩 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/06/29(金) 00 49 33.04 ID ZqEP/v7T いずれにせよ、妹も不安ではあったようで。 しかし。 その内心も、僕が一言、『そんなことはない』と否定して、それで終わるものだった。 「はっ・・・・・・はっ・・・・・・」 それ用の訓練でも受けた人間相手でもなければ狸寝入りをしたところで、 これだけ触れた上で色々とすれば反応で起きているかは分かる。 反射を抑えるなんて特殊な行為は、僕にはできない。 まして妹は腹芸の出来る性格でもなく、互いに化かし合いをしているのでもなければ、 とうに僕が起きていることに気付いていておかしくない。 なのに気付かない理由は一つ。 僕がそう言ったからだ。 「ああ。アニキの味がする」 つうっ、と。 右腕に触れた舌先が、手首までを滑った。 それから半端に開かれた掌で何度も何度も円を描き、 裏に回って手の甲に乗ると、れろれろとあちこちを走る。 それが終わると今度は先端へと駆け、中央に寄っている指を三本まとめて咥えてから、ゆっくりと吸い立てた。 「汗と、匂い。あんまりしないのが勿体ないな・・・・・・」 唾液を満たした口内でしばらく含み、浸るほどに湿ってから舌に乗せる。 中指から人差し指、最後に薬指という順番で舌先を走らせてから絡ませ、 汚れをこそぎ落とそうと慎重に引いていった。 時折、単にそうしたいのか甘噛みを含ませてから、ようやく解放。 後ろ手に持っていたタオルで余分を拭いて、すぐに小指、親指へと移った。 「アニキ。変に長く風呂に入るようになっちゃったし。体も、すげーよく洗ってるよな」 ちょうど右手が終わったところで。不意に、ぴたりと動きを止めて。 「気付かれてるのかな・・・・・・?」 闇の中で影としか見えない首を傾げ、そしてはっきりと横に振った。 「んなわけないか。起きてないって、アニキが言ったんだし」 そして先程をなぞるように左腕に舌を伸ばし、左手へ。 疑問は完全に処理したとばかりに、作業へ没頭する。 (本当に。怖いくらいだ) それだけのことで、妹の中の問答は終わっていた。 兄がそう言ったから、事実が違うはずはない。 疑念を挟む余地すらなく、不安も悩みも、もしもの可能性すらも、それで全てが終わっている。 正直、どうしてこうまで妹に好かれているのか、理由の分からない好意は恐ろしい。 だけど。 同じく理由の分からない信頼を『家族』から受けて、妹の行為を両親に話したり、 あるいは本人に問いただすことが、僕にはどうしてもできなかった。 妹の口にしたセリフ自体、単なる独り言で、こちらの反応をうかがっているのでもない。 262 名前:妹朝妹晩 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2012/06/29(金) 00 52 32.42 ID ZqEP/v7T おまけに。 「本当は起きてるなら、起きてるけどアタシには嘘を言った方が、 アニキには都合がいいってことだしな。 許してくれているなら、嬉しいけれど。 何か理由があって、アニキにはその方がいいなら、別にいいさ」 疑わないだけでなく、疑わずに騙されていてもいいとまであっては。 妹の、兄に対するには行き過ぎた行為も、 ほんの少し僕が耐えれば害にはならないと、信じるしかなかった。 妹の行動自体、『兄に頼まれて』初めてしたことで、今のところは夏に限定される。 機会さえあればすぐにでもこうしたい衝動を、妹は今までずっと抱えて、抑え込んできたはずで。 「アタシはアニキのことが好きだから。 アニキがいいなら、それでいいんだ。アタシはアニキの妹だからなっ」 誰にともなく主張して、妹は続ける。 ごそごそと。 ベッドのスプリングを軋ませる移動は、少し下がったところで止まって。 「射精(だ)したら、流石に汚れちまうもんな。 射精す時は、お嫁さんにするもんだし。 あーあ。アタシのも、どうせならアニキに破って欲しいもんだぜ」 兄の股間に吐息を吹いた。 「でもま、我慢我慢。・・・・・・・一生、我慢だぜ。んっ」 そのまま、触れるだけのキスを残して、足の方へと移っていく。 「好きだよ、アニキ」 「せめて夢では聞いて欲しいな」 家の妹の特徴、『兄が好き』。 それは愛より恋で、家族よりも遠くから。 何より問題なのは、万に一つ、いつか自制を越えた妹に来られた場合、 妹の強さとこの狂気に、抵抗できる気がしないこと。 毎朝毎朝、起こされる度のスキンシップと。 毎夜毎夜、眠る度のこの痴態。 僕の夏は────────よく眠れない。
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妹紅6 新ろだ282 「けーねおねえちゃんどこぉ…」 一人の少年が薄暗い竹林を彷徨っていた。 名を○○と言い、歳は十にも満たず外の世界から神隠しに遭いこの幻想郷に迷い込んだのであった。 幸い妖怪に襲われる前に里の住人に助けられ上白沢慧音が引き取り共に過ごすに至った。 少年にとってこの世界は全ての事が新鮮でよく村の外で遊ぶようになり、慧音には暗くなるまでには絶対帰るようにと 念を押されていたがこの好奇心旺盛で多感な少年期には中々難しい注文であった。 友達と遊んでいたらいつの間にか逸れてしまい、さまよい歩く内に日が暮れてしまった。 瞳には大粒の涙を貯め、泣きだす寸前だった○○の後ろで何か物音がし、それに驚いた○○は腰を抜かしへたり込んで身動きが取れなくなってしまった。 「ん?何だ、○○じゃないか。こんな所で何してるんだ?」 「…も、もこーおねーちゃん?う、うわぁぁぁぁ~ん!」 見知った顔を見て安心したのか、○○は極限にまで伸ばされた緊張の糸が切れ泣き出してしまった。 一体何のことか分からなかった妹紅は取り合えず泣きじゃくる○○をあやし、おぶって慧音の家まで連れて行くことにした。 妹紅は帰りの道中さまざまな話を聞かせ、○○はその話に表情をコロコロと変えていたが途中で寝息へと変わっていた。 遊び疲れと泣き疲れたのが両方一気に押し寄せて眠りの世界へと誘っていたのであった。 「ほら○○、家に着いたぞ。で、こわ~い奴のお出ましだ」 妹紅の声で目覚めると慧音が目の前に佇んでいた。 表情からご立腹であることは幼少の○○でも容易に想像がついた。 「○○!」 「ご、御免なさい…けーねおねえちゃん!」 「まぁまぁ慧音、男の子はこれくらい元気じゃないと」 「妹紅、あまり○○を甘やかさないでくれ。今回はお前が見つけてくれたから良かったが 妖怪にでも喰われてからじゃ遅いんだぞ」 「○○だって怖い目にあったんだ。大丈夫だな○○」 そう言い妹紅は○○の頭を優しく撫でた。 「まったく…この子には甘いな」 口ではそう言うが心底心配していた慧音は○○を優しく慈しむように抱きしめてあげた。 「もこーおねえちゃんありがとう!そうだ!僕ね、大きくなったらおねえちゃんとけっこんする!」 「なっ!!!」 「だそうだ妹紅、良かったな。嫁の貰い手が出来たぞ」 腹を抱えて笑う慧音とキョトンとする○○に妹紅は顔を真っ赤にし 「○○、あのな?嬉しいけどお前と結婚する慧音が私のお義母さんになるからな。それで…」 「私は○○の母親じゃない!保護者だ!」 慧音の頭突きが見事に決まりその場に崩れる妹紅に駆け寄り○○は必死に呼びかけたが 妹紅の意識は途切れていった… ○○は慧音や妹紅、里の人達から愛情を受けすくすくと成長していった。 「昔はもっと可愛げがあったのにな…」 「ん?何か言ったか?」 「いーや、何も」 時は流れ○○は青年になっていた。 「ちょっと昔の事を思い出したんだよ」 「昔ねぇ…」 妹紅の淹れた茶を啜り○○は寝転がった。 「お前さ、わざわざ人の家に来て茶啜って寝てるだけって暇人だな」 「いいだろ別に、今日は仕事が休みなんだよ」 「しかし、○○が薬師ねぇ…」 ○○は数年前永遠亭の八意永琳に頼み込んで住み込みで弟子にしてもらっていた。 「よくあの薬師を説得出来たね」 「まぁ…な」 「ふぅん」 歯切れが悪かったが元々○○はそういう所があったので妹紅はさして気に止めなかった。 「そういえば独り立ちしたからってたまには慧音に会いに来てあげなよ。 寂しがってたよ」 「ちゃんと会いに帰ってるよ。ご馳走さん」 ○○は残ったお茶を飲み干し、湯飲みを水場に置き土間から降り際に妹紅に告げた。 少し散歩しようか、と。 「ねえ○○、私と初めて会った時の事覚えてる?」 「初めて会った時って言うと…何だっけ?」 二人は竹林を当ても無く彷徨っていた。 「覚えてない?慧音が○○の手を引いて私の目の前に現れてさ」 「あ~…妹紅が何か言って頭突き喰らってたな」 「そうそう、ついに慧音も一児のお母さんか、ってね。何も頭突きしないでもさ」 「そういうお年頃だったんだろうさ、慧音は」 その時○○は妹紅の事をちょっと怖いと思ったが何てことはなかった。 妹紅は面倒見が良く、○○とすぐ打ち解ける事が出来た。○○にとって妹紅はもう一人の保護者と言っても過言ではなかった。 「でも何だかんだ言って慧音は親馬鹿さ。○○の事となると周りが見えなくなるし 寺子屋で一番になった時は上機嫌で暴れまわってたし」 「止めてくれ、アレは恥ずかし過ぎ」 寺子屋一の秀才になった時慧音は親しき人達を集め宴会を催したがその時の あまりのはっちゃけ振りは未だに目に焼きついて離れなかった。 「そんだけ愛されてたのに自分の下から離れてあんな怪しい連中の所に行ってるんじゃ、親の心子知らずだね」 「師匠は確かに性格がちょっとアレだけど間違いなく天才さ、怪しさで言ったら妹紅もいい勝負だな」 「あ~あ昔の○○は素直で優しくて可愛げがあったのに、今じゃ夜遊びもするし慧音はどこで教育を間違えたんだか」 「後天的、周りの影響だな」 「里の友達か?確かに悪ガキが多かったからな」 「もっと身近で影響力のある奴だよ」 「じゃあ不良中年達だな」 「…はいはい。自分で言ってりゃ世話無いな」 こんな風に昔の話に華を咲かせ二人は一緒に歩いて行った。 しかしこの好ましい時間もいずれは終わりが来る。○○と妹紅とでは時間の進み方がまるで違う。 妹紅は不老不死、いずれ別れの時が来る。親しい人達との別れは辛い、独りでいる事の方がまだ心は楽だ。 いくら不老不死でも精神は人間のままで肉体的な死よりも精神的なショックの方が妹紅には辛かった。 だから大概の人とはある程度距離を置いてきたのだ。にもかかわらず○○はいつの間にかもっとも近い存在になっていた。 限られているからこそ今という時を大事にしたかった。二人の時間を。 「なあ妹紅、お前の望みは何だ?姫様への復讐か?それとも…普通の人間に戻って死ぬことか?」 「いきなり何だ…よ?」 ○○の表情は何時にも増して真剣で、妹紅は一瞬胸が高鳴った。 「教えてくれ」 「ん~…輝夜との事は難しいな。まだ憎いかって言われりゃこんな体にしたから憎いけどさ 今まで散々殺しあって互いに暇潰ししてそれなりに楽しかったし。それに普通の人間に戻るのは…無理だよ」 「そうか…」 妹紅の声のトーンが一気に下がった。顔を伏せているが妹紅は悲しい表情をしているのだろうと○○は思った。 ふいに○○は妹紅を後ろから抱き締めた。 「こ、こら○○!ふざけるのもいい加減に…」 「妹紅、俺はお前が好きだ」 不意に耳元で妹紅は囁かれ、見る見るうちに顔が真っ赤になった。 妹紅は何か言おうとしていたがまるで言葉に出来ず、抵抗することも止め大人しくなった。 「このまま聞いてくれ。俺にとって妹紅は姉であり母であり…女性なんだ。 妹紅は強くていつも妖怪から俺を守ってくれた。そのお前が一度だけ幼い俺の前で泣いたことがあったんだ。 ただ一言辛い、と」 「っ――」 「俺はそんなお前を見たくないんだ。いつだって不適に笑って自信に溢れてるカッコイイお前が好きなんだ。 今…俺は師匠の下で蓬莱人から普通の人間に戻る薬を研究している」 「無理だよ…そんなの出来っこない」 「ああ、"人間の寿命"じゃ絶対無理だ」 「人間のって…」 「はっきり言ってこれは俺の勝手な想像でお前にとって大きなお世話かも知れない。 でも妹紅が望み、迷惑じゃなかったら…お前の肝を俺にくれ」 妹紅は絶句した。蓬莱人の肝を食べれば新たな蓬莱人が誕生する。 抱き締められた状態で○○の表情を窺ったがその瞳には揺ぎ無い決意が読み取れた。 「数百年数千年かけてでも俺がお前を元に戻してやる」 「そんなの前例がないし…」 「前例がないならこれから俺が作る」 「でも私なんかの為に○○の人生をぶち壊しになんか出来ない!ほら、一時の気の迷いかもしれないし。ね?」 妹紅の瞳からは大粒の涙がこぼれ出した。 「俺だって一時の感情かもって思った。でも今まで頑張って来た。それは紛れもなく妹紅と一緒に同じ時間を過ごし共に死ぬ、その為だ。 その気持ちに嘘偽りはない。だからさ、一緒に苦労しよう。妹紅」 慧音に教えを乞い知識を授かり鍛錬を積み体を鍛え日が沈むころに紅魔館の図書館で夜遅くまで知識を貪欲に吸収する。 そして今は月の頭脳の弟子となった。それら全てはたった一つの事に集約されていたのであった。 「私だって……本当は○○と一緒にいたい…でもそれは…夢なんだ、無理なんだって…諦めた」 涙で顔はボロボロになり言葉もやっとのことで紡ぎ出している状態であった。 そんな妹紅が愛おしくなり○○はもっと強く抱き締めた。 「夢で終わるかどうかは妹紅次第だ。俺は腹を決めた、妹紅は?」 「…じゃあもう一回好きって言ってキスして」 「何度でも言ってやる。好きだ妹紅」 そう言い○○は妹紅に優しく口付けをした。 それはただの触れ合うだけの幼稚なキスであったが、今の二人にはそれで充分に満たされた。 「○○、ちょっと後ろ向いてて。恥ずかしいから」 妹紅は○○が後ろを向くのを確認するとおもむろにシャツを脱ぎだした。 そして自分で自分のの腹部を掻っ捌いた。 「ぐっ!…がはっ!」 いくら蓬莱人で死なないとはいえ激痛は伴う。傷が再生しないように妹紅は痛みに絶えながら急いで肝を 取り出した。そしてまだ生暖かく血が滴る肝を○○に手渡した。 「ハハ…結構痛いね」 そして妹紅は無理に笑顔を作ったがその場に座りこんだ。 「次は俺の番か…」 覚悟を決め一口それを含むが○○は強烈な吐き気に襲われた。 血抜きなどを一切行っていない生の肝なのだから血と鉄の味でとても食べれたものではなかった。 しかし○○は時間をかけて何度も吐き出しそうになりながらも肝を貪った。 完全に肝を食べ切った時には少し日が傾き始め、○○はぐったりとした表情で妹紅の隣に腰を下ろした。 「これで、俺も蓬莱人の仲間入りか…実感ないけどな」 「歓迎していいのか微妙だけどね」 妹紅は嬉しいという感情よりも後悔の念の方が大きかった。 自分のせいで○○は幼くして信念を固めてしまい、他にあったかもしれない道を閉ざしてしまった。 無意識に妹紅は謝罪の言葉を吐いた。 「○○…ごめん」 「何度も言わせるなよ、俺が決めたんだ」 「そうだね…でもごめん」 このままでは拉致が明かなそうなので○○は話題を変えた。 「でもまぁ、レバーは嫌いじゃなかったんだけどこれはきっついな」 「すっごい匂いだね」 「ああ、…今更だけどレバーの炒め物とかにすれば良かったかな?」 「馬鹿、そんな軽口叩ければ大丈夫だね」 「妹紅の方は?」 「しばらくしたら元通りになるさ」 傷口が痛々しいが先程より妹紅の表情は幾分か楽そうであった。 「ハハ、俺もお前”も紅”に染まったな」 二人とも血だらけでその血が少し酸化し始め深い紅色になっていた。 「うん…一緒だね」 ○○は妹紅の肩を抱き寄せたが妹紅は驚き頬を染めたままどこか所在無さげであった。 「どうした?」 「その…こういった経験ないから甘え方が分からない」 望まれない子供として生まれ、決して恵まれた子供時代を送れなかったが為に誰かに甘えることは出来ず 蓬莱人になってからも誰にも甘えることは出来なかった。 「可愛いね、お前」 「こんな事するのは○○だけだから… 「ホント可愛いね、お前。でもそろそろ着替えないか?血の匂いってヤツは長時間嗅いでいると嫌になってくるからな。それに慧音に報告しないと」 「そうだね」 その提案に妹紅も頷きそれぞれ着替え慧音の家へと向かった。 「なるほど、ついに妹紅に打ち明けたか」 「ああ」 慧音は一口飲んだお茶を卓袱台に置きじっと二人を見つめた。 ○○と妹紅が二人揃って訪ねて来た時の雰囲気と表情から慧音は薄々感づいてはいた。 昔、まだまだ子供だと思っていた○○から聞かされた夢物語が本当に始まろうとしている、慧音にとっては それは複雑な心境であった。 我が子同然に育ててきた○○が言わば人間を止め、答えがあるかどうかも分からない道を往く。 他に道は幾らでもあるだろうがわざわざ難儀な道を選んだ○○に慧音は心底心配であった。 だが子供が決めた事を応援するのもまた親の役割の一つであった。 「慧音、私は…」 妹紅が申し訳なさそうに口を開いたが慧音はそれを制止した。 「妹紅、○○は頑固で融通が利かず不器用な生き方しか出来ない。それに一つの事に没頭すると周りが見えなくなり自分の事も疎かになるような まるで駄目な男だが根は良い奴だ。どうか見捨てないでやってくれ」 「分かった」 「オイ…」 自分が褒められているのか貶されているのか微妙で、もっと良い評価が欲しかった○○であった。 「○○」 「な、何だよ?」 ○○は昔から慧音の説教が嫌いで、気付いたら説教されそうな雰囲気を読み取る程度の能力を手に入れたのであった。 そして今まさにソレを感知し身構えた。 「妹紅を絶対幸せにするんだぞ。もし泣かせるような事があったら神に変わって私が天罰を下すぞ?」 「善処します…」 「そうしてくれ。で、これからどうするんだ?」 「まずは永遠亭から妹紅の家に引っ越すよ。幸い竹林から永遠亭は近いから助かるよ」 「一人で暮らすには広かったから二人で暮らすには困らないしね」 「人里離れてるから思いっきりイチャイチャ出来るしな」 「○、○○!」 二人からは早くもバカップルオーラが発せられていた。 「…で、式は挙げるのか?」 その場に居た堪れなくなった慧音は話題を振ってそのオーラを払拭しようと試みた。 「いや、今は恋人って関係を楽しむよ。式はその後に、紅白の貧乏巫女の神社ででも挙げるさ」 「そうだな、二人にはそれが丁度いいな。だがまぁ…程々にな、色々と」 ○○は慧音の好物の羊羹を土産として持ってきたのであったがまったく手をつけていない事に気が付いた。 「食べないのか?好きだろ?その羊羹」 「好きだがな、今のお前達を見ていたら甘いものはいらないよ。ご馳走様」 そういってお茶を啜る慧音に妹紅は頭上に疑問符を浮べていた。 「慧音」 しばし雑談をしていた時急に○○は姿勢を正し、慧音の方へと体を向けた。 「この幻想郷に迷い込んで里の人たちに拾われ慧音に出会い、そして俺を育ててくれた。 迷惑も掛けてきたし俺の我侭に付き合せてた事、本当にすまないと思う。…そしてありがとう」 「珍しいこともあるもんだな。お前からそんな言葉を聞けるなんて」 「こんな時じゃなきゃ言えないさ。心から感謝してる」 「そう思うならたまには孝行をしろ。馬鹿」 慧音は目頭が熱くなり泣き出しそうになったのを必死で堪え笑顔を作った。 「ああ、時間ならたんまりあるからな。覚悟してろよ……母さん?」 「…っ。全く…この、馬鹿、息子が…っ。期待、しているぞ?」 仲睦まじく竹林の方へと去る二人に慧音は手を振り見送った。 「はぁ……子を送り出す親の心境か、こんなにも辛いものなのだな」 「そう思うのなら私の元に居て!って引き止めればよかったのに」 ズイっとスキマから八雲紫が慧音の前に突然現れた。 「そんな事出来るわけがないだろう。○○を嗾けた張本人が何を言う。それに盗み見とは趣味が悪いな」 「あら、人聞きが悪い。数年前私を訪ねてきた少年に可能性を教えただけよ?そう、暗闇に光を射す方法をね」 紫は口元を扇子で隠しながら笑みを浮べ、その仕草が胡散臭さを一層引き立てた。 「あのバカにはその小さな光があまりにも眩し過ぎてそれしか見えなくなってしまった」 愚直な性格、○○の長所であり短所 「私はそういうバカは嫌いじゃないわよ。それに針みたいな小さな光でも深い闇を貫くことは出来るわ」 「そうあって欲しいものだ」 「大変ね、お母さんは」 「フン…放っておけ」 ―せめて○○と妹紅に死が訪れるまで幸多からん事を― 「あのね○○、私もう一個夢が出来たんだ」 二人は竹林への道を歩いていた。 これから気の長い時を二人で過ごすであろう竹林へと。 「ん?何だ?」 「私と○○の子供をたっくさん産んで輝夜に見せつけてこう言ってやるんだ。 どうだ羨ましいだろって。そして奴の悔しがる顔を見て笑ってやるんだ」 「素敵な夢だな…。でもそれには俺の協力も必要不可欠な訳だな」 「うん…ちょっと恥ずかしいかも」 頬を紅く染め上目遣い…凛々しい妹紅も良いが可愛い妹紅もヤバイ。○○の妹紅メモに新たな項目が追加された瞬間であった。 「でも私慧音みたいに胸大きくないから大丈夫かな?」 「妹紅は人間に戻れば成長期だから大丈夫だろ。なんなら俺が手伝ってやってもいいけど?」 「○○って人の胸大きく出来るの?ハッ!まさか慧音の胸を大きくしたのは○○か」 「いや…その…今の言葉は気にするな」 「?」 どうやらそういった知識に妹紅は疎いようで、そんな初心な所に○○は妹紅の可愛さを再確認したのであった。 危うくその場で妹紅を押し倒しそうになったが、場所が場所でムードの欠片もなかったので○○はグッと堪えた。 「何一人で楽しそうにしてんのさ、それよりほら」 一人悶々としている○○に妹紅は手を差し出した。 「これから忙しくなるんだろ?」 「そうだな…まずは永遠亭から俺の荷物を妹紅の家に運ばないと」 「私達の、だろ?これからは」 「ああ、そうだったな」 そして差し出された妹紅の手を○○はしっかりと力強く握り締めた。 願わくばこの手を離す時は死が二人を分かつ時であることを… 新ろだ436 表では子供達が走り回り、眠っていた動物達もちらほらと姿を見せ始めていた。誰もが春の訪れを感じるそんな日。 里の中のとある一軒、ここは○○という青年の家である。 普段なら仕事に行く為に出てくる時間なのだが、今小屋の前からは誰も出てくる気配が無い。 それもその筈、彼は風邪をこじらせ仕事どころでは無いのだ。 この男数日前から熱っぽさを感じていたが、ただ調子が悪いという事で片付けていた。 それが間違いであったという事実に彼が気付くのに時間はかからなかった。 あっという間に体の調子を損ない、必要な時以外は布団の中で過ごすハメになってしまったのだ。 「ああ…くそ、熱が下がる気配が無い…。薬合ってないんじゃないのか」 誰に聞かせる訳でも無く天井を見つめそう呟いた。 それ以上独り言を言う力も無いのか、そう言ったきり彼は眠りの中へと落ちていった。 あれからどれくらい経ったのだろうか。彼は誰かが自分の名前を呼ぶ声で目を覚ました。 少し休んでいたとはいえ玄関まで出て応対する力など出せるはずも無い。 今自分を呼んでいる人物には悪いが、このままやり過ごさせてもらおう。彼はそう決めた。 誰も出てこないと分かると声は次第に無くなっていった。 次に聞こえてきたのは声では無く、誰かが扉を開け家へと入ってくる音であった。 強盗の類であれば、健康体であっても太刀打ち出来るかは分からない。この状態なら尚更である。 そして部屋に飛び込んできた人物、それは大きなリボンに腰まであろうかという長い髪をたなびかせた女性であった。 飛び込んできた女性、彼女の名前は藤原妹紅。 里で寺子屋を教えている上白沢慧音の知り合いであるようで 彼自身も何度か顔を合わせて話を交えたこともあり、知らない仲でも無いのである。 「あれだけ呼んでるんだから返事くらいはしてくれてもいいんじゃない?」 「してはやりたかったが、こんな調子じゃちょっとな」 「あぁやっぱり慧音の不安が当たってたか」 寝込んでいる彼を目の当たりにして、彼女は少し溜息をついた。 「慧音が俺の心配してくれてるの?ありがたいなぁ。病気になった甲斐があったよ」 「ふざけない。で快復の兆しは見えてきてるの?」 「薬は飲んでるんだが、一向に治らなくてね」 「飲んでるだけじゃすぐには良くならないよ。…風邪引いてからまともな物食べてないでしょ」 「え、ああ、確かに寝てる事だけで精一杯だったからそんなに食べてないかな」 「だと思ったよ。はいこれ」 そう言い彼女は布団の上に少し大きめの風呂敷を置いた。 「慧音からの差し入れ、中身はお粥だけどもね」 風呂敷を開けると中には蓮華とふたの付いた丼が入っていた。 「ほら食べさせてあげるよ、口開けて」 「いや恥ずかしいからお前が帰った後でゆっくり食べさせてもらうよ」 「誰も見てないんだから別に良いじゃない。ほら、あーん」 少し抵抗していた○○であったが、おずおずと粥の入った蓮華を口にした。 「どう?美味しい?」 「…美味しいよ。ここ二日で口にした中で一番美味しい」 「慧音が作ったんだから当然だね。ほらもう一口」 二度目ともなると恥ずかしさは消え彼はすんなり口に入れていた。 何度か粥を口に入れるともうお腹は膨れていた。 「しかし食事だけとは言え面倒見てもらって悪いな」 「良いよ、慧音の頼みだし。それに…」 「それに…?」 「い、いや私自身も暇だったし丁度良いかななんて思ってたんだ。うん。」 「理由は何だって良いさ。助けてもらたったんだし、何かお礼をしないとな」 「いらない。見返りが欲しくてやった訳じゃないよ」 「それじゃ俺の気が済まないんだ。出来る範囲で礼をさせてはくれないか?」 「なら、もしも私が病気にかかったりしたら○○にした事を私にもして欲しい。これじゃダメかな」 「そんな事で良いのか?…分かったいつになるか分からないけど約束する」 「本当に?絶対に約束だよ」 「そんなに念押しするなって、嘘はつかない性分だから安心してくれ」 と、何だか腹も膨れたし、また眠くなって来たな。」 「寝付くまでは傍にいるよ、何が起こるか分からないでしょ?」 「流石にそこまでは望んでないけれども…」 「良いじゃない、私がしてあげたいと思ってるんだから。問題は無いでしょ」 「それもそうかな…それじゃお休み妹紅」 「お休みなさい、○○」 目を閉じて眠りに落ちていく彼を見つめながら妹紅は静かに微笑んでいた。
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妹紅8 新ろだ1017 目を開けると強烈な光に幻惑され、ぼんやりしていた頭がノックされる。 最初は朝日なのかと思ったが、あまりにもその日差しがきつかったのですぐに「ああ、もう昼が近いのか」と俺は納得した。 ベッドの上で身じろぎする。布団から出ると少し寒い。 「あーうー」 どこかの蛙のような声が出る。妙に気だるい。 身体が何か足りないものを求めているような、そんな感じ。 足りないもの? それはなんだろうか。睡眠はたっぷり取ったはずなのに。 足りないモノ。それはとても大事で、愛しくて、暖かいものだったような気がする。ああ、だけど足りないと言いつつも満たされているような気もする。 身体は足りず、心は満たされ。そうか、そういうことなのかもしれない。 そんな意味の分からない思考がしばらく続いた後、俺は目をしっかり開けてモノを認識していく。 「あー……」 ベッドの上で起き上がる。パジャマから剥き出しの手足を冷たい外気が刺激し、「さむっ」と俺は小さく呟いた。 窓を見る。えらく高く上った太陽がさんさんと光を降り注いでいた。思ったとおり昼間に近い時間のようだ。 五感が働き始めると急速に眠気が覚めていき、それと共に鼻をくすぐる匂いにも気がついた。 どこか懐かしい匂い。これは多分、焼き魚。それとみそ汁の香りも混じっている。 「あ、起きたか?」 台所から寝室へと入ってきた少女が一名。俺を見て微笑んでいる。 白くて長い綺麗な髪を、今は頭の上で一つにまとめているのが一際目を引いた。 右手には鍋用のお玉。いつものもんぺ姿の上にエプロンをつけている。 彼女は俺の傍に近寄るとくすくす笑った。 「ほら、さっさと起きなよ。もう昼だよ」 彼女の左手の人差し指が、俺のおでこをちょんっとつついた。少し痛い。 けれどそれ以上にとても暖かいものがそこから注ぎ込まれてきて、気だるかった身体に力を与えてくれた。 たちまち視覚がはっきりしてきて、視界に彼女の顔がいっぱいに広がっていく。全部が全部、彼女で埋め尽くされていく。 足りないと思っていたモノが目の前にある。 そう思うともう止まらない。 「着替えるなり何なりしないと、いくら用事がないからって、んあ!」 俺は彼女の肩を引き寄せて、自分の胸に抱き締めた。 最初は驚いて抵抗していた彼女だったが、俺が離そうとしないことを悟ったのか、小さなため息をついて身体を任せてくれた。 柔らかい感触と心臓の鼓動。これは俺と彼女、どちらの心臓の音だろうか。 「……妹紅」 「ん?」 とても暖かい。どうして人肌ってこんなにも暖かいのだろうか。 身体だけではなく、自分の中の全てが暖められ、満たされていく。 ああ、これが幸せというものなのか。 その思いを言葉にしたくて、俺は妹紅の背中を撫でながら、呟いた。 「ありがとう」 「……はぁ、どういたしまして?」 何のことか分からないらしい妹紅は首を傾げるが、しっかりと俺の首に手を回してくれるのだからありがたい。 さらにギュっと抱きしめる。もっと幸せな気分になってきた。 しかしここから先には進めない。 恋仲になってから一度も「そういうこと」の経験がない俺達。 俺はもっともっと妹紅に近くにいてほしいと思って、強く抱きしめるけれども。 「妹紅……」 「ちょ、ちょっと! ダメだって、私はまだそんな……!」 「もこー!!」 「あーもう! 落ち着けー!!」 残念! 俺はここで燃やされました! ※ 「バレンタインって知ってる?」 「へ?」 消し炭にされそうになった所をなんとか回避し、居間で一緒に朝食兼昼食の焼き魚を食べていると、妹紅が思わぬ単語を口にした。 驚いた俺は焼き魚の骨を落としそうになったが、なんとか口に含んでバリボリと食べてしまう。 「……○○、さすがに骨を食べるのはおかしい」 「あ、と。うん、そだね。歯茎が痛い」 どうやらかなり動揺してしまったようだ。魚の骨を吐き出し、深呼吸して心を落ち着かせる。 妹紅の口から出てきた単語は、俺にとって長年の不倶戴天の敵。 「妹紅」 「うん?」 「その言葉をどこで知ったんだ?」 「天狗から。違ってた? 今日がそのバレンタインらしいけど」 「射命丸か……余計なことを幻想郷に広めやがって」 俺は妹紅に気付かれないよう、チッと小さく舌打ちをした。 「○○?」 「ああ、バレンタインだったな、うん、今日がそのバレンタインだね」 「天狗によると、なんか男女のイベントごとらしいんだけど」 「……妹紅、違うぞ。『バレンタイン』は外の世界の呪いの言葉の一つなんだ」 「え、ええっ! 「この言葉を口にすると、世界中の男性の3分の1は興奮状態に陥り、3分の1は外見上の変化は見られなくとも心は異常なまでの躁状態になる。そして残り3分の1は……」 「ごくりっ……」 「『ウツダ……シノウ』を合言葉に家の中に引きこもる! そうして世の全ての男性は異常な感情に支配され、社会は壊滅してしまうんだ!」 ばんっとテーブルを叩き、拳を握り締める俺。口から白米を何粒が飛んでしまい、慌ててテーブルの上に落ちたそれを拾って食べる。 「そういうわけだ、分かったか妹紅。無闇やたらにその言葉を口にしないように」 「うん、嘘だよね」 「はいそうです、ごめんなさい」 笑顔の妹紅の背後にうっすらと陽炎が浮かんだので、俺は即座に頭を下げた。俺カッコワルイ。 「おふざけはともかく、結局どういうイベントなの」 「えーと、つまりはですね」 俺はバレンタインがどういうものか、適当にかいつまんで説明してやった。 曰く、女から男にチョコやら何やら送って、ついでに愛の告白をする等々。 「ふーん、じゃあやっぱり天狗の言ってたので間違いないわけだ」 「どんなことを言ってたんだ?」 「ん……今○○が説明してくれたのと同じかな」 頬を赤く染める妹紅、かわいいです。 じゃなくて、いったい天狗からどんな話を聞いたのだろうか…… あのゴシップ好きの天狗のことだ、あることないこと妹紅に吹き込んだに違いない。 「○○はどうして嘘なんてついたのさ」 「あー……積年の恨みというか、条件反射というか。お前が輝夜さんを見ると炎が出るのと似た感じだよ」 「ふーん」 どうもバレンタインと聞くと嫌な感情しか出てこない。 きっと外の世界で本命チョコを貰った経験がないからだろう……悲しい。 いや待て。 確かに外の世界での俺は、バレンタインにチョコを貰ったことなんてなかった。というか、恋人もいたこともないし女の子といい雰囲気になったこと自体ない。 しかし、しかしだ。今はどうだ? こうして目の前に、藤原妹紅というかわいらしい彼女がいるではないか。 しかもなんやかんやあって永遠の愛を誓い合った仲だ。男女関係に関しては牛歩の如き進展だが、しかし恋仲であることは間違いない。 俺の心は急速に浮ついていく。 そうだ。今年こそは、今年こそは母親以外からチョコレートを貰えるに違いない。 幸い妹紅はバレンタインに多少興味を抱いているようだし、ここは1発、こちらから妹紅の背中を押してみてはどうだ? 「バレンタインに興味があるのなら、やってみるか」とさりげなく。催促するわけではなく、妹紅の好奇心を満たすような形で。 (いける、これはいけるぞ。きっと成功する) お、落ち着け俺。ここで焦ってはいけない。生まれて初めてのチョコが貰える、その可能性をここで潰してたまるか。 1つ深呼吸した俺は、できる限りさりげなく、しかし限りなく思いを込めて、妹紅にバレンタインイベントへの参加を提案しようとするが、 「○○」 「は、はい?」 ちょうど俺が口を開いた所で声をかけてきたので、変に高い声で返事してしまった。 妹紅が首を傾げる。 「どうかした?」 「いや、な、なんでもない」 「そう?」 誤魔化すように答える。妹紅は訝しげながらも納得してくれたようだ。 「で、妹紅は何を言いかけたんだ?」 「あっ……あのさ、プレゼントって、別にチョコじゃなくてもいいのかな」 「え、それはつまり……」 「さっきの説明だと、チョコ以外でもいいみたいだし」 オーマイガッ! そうか、そうですよね。幻想郷でチョコなんて滅多に見かけないし、妹紅が作り方を知っているわけでもあるまい。 だったらチョコ以外の何かをプレゼントにするのも、納得できないわけではない。 いや、至極まっとうな思考とも言えよう。 しかしだ。 結局俺は今年もチョコ貰えない歴を更新してしまう。 どうしてだ。恋人いるのに。 チョコ欲しいよチョコ。 「いいと思うよ、うん、チョコ以外でもさ」 「そっか、うん」 妹紅が頷き、何事か考え始める。何をプレゼントにするか考えているのだろうか。 どうやら妹紅から何か貰えるのは確実らしい……しかしチョコ欲しいよチョコ。 いや待て。おかしいだろ俺。バレンタインで何か貰えるというだけでも大進歩じゃないか。 どうしてこんなにもチョコ「だけ」が欲しいと思うのだろう。なんか俺病気か? チョコ執着病か? 「○○」 自分のことが分からなくなって頭を抱えていると、妹紅が唐突にとても真剣な声を出してきた。 何だ?と思って彼女の顔を見ると、その表情はまるで戦へ向かう武士のように張り詰めていて、俺は思わず息を呑んだ。 妹紅は持っていた箸を机に置き(そういや俺ご飯食べてないよ)、「○○」と再度俺の名前を呼んだ。返事が欲しいらしい。 俺は居住まいを正して、「なんだ?」と応えた。 すると妹紅は決意に満ちた顔で話をし始める。 「えっと……その、私もそろそろ覚悟ができたというか、長い間生きてて本当に一度も経験がないから怖くって、 あっ、○○が怖いわけでも嫌いなわけでもなくって、ただ不安なだけで」 「……何のことだ?」 どうも話の内容が掴めない。さっきまで真剣な顔だった妹紅が急にしどろもどろになっているのも変だ。 そんな俺の疑問の声に対し、妹紅は1つの咳を返す。 「私達が付き合い始めて、もうすぐ1年だよね」 「ああ、そうだな」 「もう1年も経つんだ。普通の男女なら、とっくの昔にやってたことだと思う。けど、私のワガママで○○をずっと待たせてしまった」 え、それは…… 「今までごめん、○○。そして」 「う、うん」 「わ、わたしを貰ってくれないか?」 「……」 「○○?」 「いいいいいやっほおおおおお!!!」 突然その場で立ち上がって雄たけびを上げる俺。呆然とする妹紅。 もはや俺は狂喜乱舞していた。 え? これマジ? マジですか? そんなサプライズがあっていいのでしょうか? だってもこたん、前からずっと「まだダメなんだ」とか「ごめん」とか苦しそうに俺の誘いを断るから、 ああそうか、もこたんはこういうことは嫌いなのか、だったら俺も犬のように迫るのはやめて紳士のように振舞おう、プラトニックラブ万歳とばかりに我慢しまくって、 だけど時々暴走してしまいそうになって、その都度もこたんに燃やされるから、そろそろパブロフの犬的に「そういう」行為と火傷とがリンクしてしまいそうになってたんだけど、 こんな日が来るなんて。信じられない。これは夢じゃないのか? 「ちょちょちょ、ちょーと待ってくれ。あれじゃないか、まだ俺は夢の中にいるわけで、今のもこたんの言葉は俺の妄想? あ、そうか、夢か。夢だったら今すぐもこたん押し倒してもOK? オーケー!!」 「ちょ、ちょっと○○! やめっ、あ、あう、もう落ち着けって!」 「うがー!」 「ああもう!」 はい、また燃やされました。 「あつかったよ、もこたん」 「もこたんゆうな。まったく、そんなに急がなくても、私は逃げないからさ」 俺が端っこの焦げた髪の毛をいじくっていると、もこたん、もとい妹紅が目の前に立つ。 微かに潤んだ目がとても綺麗で、その瞳に吸い込まれそうだった。なんか頬も赤い、髪の毛さらさらだとか思っていると、 「ん……」 「もこ、んっ!」 妹紅の顔がドアップになり、同時に唇に柔らかい感触がして、俺は目を見開いた。 あれ、これってもしかしなくてもファーストキスって奴ではなかろうか? まさか妹紅からしてくるなんて。驚きだ。今までの彼女なら抱きしめられるだけで一杯一杯だったのに。 俺と妹紅の距離は0のまま。 唇の柔らかさだけでなくて、妹紅のフローラルな香りがとても心地いい。 俺は自然と目を瞑っていた。 2人にとっての最初のキスは、とても長いものだった。 「……○○」 妹紅の呟きと共にようやく唇は離れたが、身体の方はまだ俺の方にひっついている。 その柔らかさのせいで、なんだか目の前がぽわぽわと点滅している。妹紅菌に感染したのだろうか。熱が出そうだ。 「もこたん……」 「もこたんゆうなって、ん」 妹紅の頭をなでなで。目を瞑って気持ちよさそうにしている妹紅がやっぱりかわいい。 「本当に大丈夫なのか?」 「○○なら優しくしてくれるはずだし……違う?」 「もちろん、優しくする」 「だったらまた夜に、ね?」 やばいです、もこたん。そんな風にささやきながら俺の肩に頭を置かれたら、俺のリミッターが解除されてしまいます。 「なんか外に飛び出て叫びたい気分だ」 「なにそれ」 「それだけ嬉しいってこと……あ、そうだ、妹紅」 「なに?」 興奮を抑えつつ、囁く。妹紅は俺に身体を預けてくれている。信頼の証か。 だったら、その信頼を裏切らないようにしなければ。 「妹紅のこと、本当に好きだからな」 「な、何をいきなり」 途端に腕の中で暴れ始める妹紅を、優しく押さえつける。 「いや、あんな風に喜んでたら、身体目当てで付き合ってるとか思われたりしないかな、てな。 そうじゃなくて、妹紅のことが全部好きだから嬉しいんだってことを知ってほしいというか」 「……分かってる。ずっと待っててくれたんだから、○○は」 少し離れて、目を合わせる俺と妹紅。 笑顔が眩しい。どうして彼女はこんなにもかわいいのだろうか。 「○○、これからもずっと一緒に……」 「ああ、ずっと一緒に」 もう一度、唇を合わせる。今度は短いキス。けど愛情はたくさんだ。 バレンタインデー。チョコは貰えなかったけれども、もっと大切なものを貰えました。 新ろだ2-085 「ん…ああ?」 目が覚めた 「あら?目が覚めたのかしら」 「ああ…今覚めたよ…わりいな、遊びに来てうたた寝しちまうなんてよ」 「ふふ、目をつぶって、そのまま行っちゃうんじゃないかって思ったわ」 「まだ、伝えてないことがあるからなぁ…」 すっかり衰えた体をゆっくりと起こした 畳の上で寝ていたからか、節々が痛い いや…もう、柔らかい布団で寝ても痛いと思う 「あらあら、まだつたえてないことがあったの?」 そんな俺とは対照的に、若い姿を保つ輝夜は、不敵にニヤニヤと笑っている 「ああ、聞きたいことが一つ、言いたいことが、ひとつ…残ってるんだ」 「そう…ねぇ、本当に行くの?」 立ち上がって、杖を手に持ち、縁側から靴をはいて外に出ようとした俺を、輝夜は呼び止めた 「んあ?何をいまさら」 「相手にとって、迷惑じゃないの?」 「迷惑だろうよぉ、こんなおいぼれにいつまでも付きまとわれちゃあ…な…」 「なら相手のことも考えてやめたら?」 「それもいいな…だけどな、やりたいことやらなきゃ寝つきが悪そうだって思ってな」 「強がり言っちゃって、不安で仕方がないくせに…変わったのは姿だけね、中身は全然変わってないわね」 「ああ、お前と逆だ」 俺は思わずにやりと笑った 輝夜もにやりと笑った 「私も中身は変わってないわ…だって、今私はあなたを邪魔しようと思っているもの」 スッと輝夜は立ち上がった 「ん?こんなおいぼれの邪魔をしてお前さんは満足する器だったか?」 「おいぼれなんてどこにいるの?ここに今いるのは男と女…男が恋敵のもとへ向かおうとしているのに、止めたいと思わない女はいるの?」 「お前…」 思わず頭が痛くなったような錯覚にとらわれ頭を押さえた 「じゃあ…碁石で勝負しましょうか」 「ああ、文句なし一発勝負だ、勝ったら俺は行くぜ」 「ええ、もちろん…」 俺はもう一度縁側に座って、輝夜が持ち出してきた碁盤を見た 「じゃあ…よろしくね」 「ああ、俺の人生で一番重い碁だな…」 俺たちは打ち始めた …碁石中… 「あら、負けちゃった…」 「へへ、相変わらず俺に碁で勝てないな…勝てないまんまだったな」 思わずにやりと笑ってしまった 「はぁ…貴方に勝ったことなんて、一度もなかったわね」 「へへ、約束だ、俺は行くからな」 よっこらしょ、と立ち上がって杖をついて永遠亭の敷地から出ようとする 「○○、最後に一言」 「ん?なんだ?」 最後の最後、輝夜に呼びとめられた 「…後悔しないことね、今ここで手に取れる絶世の美女を捨て置いてあんなバカのところに行く…後悔しないことね」 「二回言うな…ありがとよー」 手をぶんぶん振って俺は歩き始めた 「姫様」 「なぁに?永琳」 「ティッシュ持ってきましょうか?」 「それよりお酒お願い…一升瓶三本くらい」 「一升瓶五本くらいですね…」 「…○○のばーか…妖怪に食いちぎられちゃえ」 「やっぱりティッシュも持ってきますね」 「ふぅ…ふぅ…」 この竹林も、昔はよく迷ったものだ しかし、六十年ほど過ごせば意外と迷わなくなる… 丸で俺がこの竹林の一つになったかのような感覚、道に、迷わない 迷いの竹林が聞いてあきれるな 「ふぅ…よっこらしょ…」 しかし体力の衰えと引き換えに、だ 無理をしたって仕方がない、妖怪もいなさそうだし、一息つくことにする 「はぁ…年老いちまったねぇ…」 自らの、手を見る しわくちゃで、擦り切れていた 「まぁそんなことをいまさら気にする俺じゃないけどねぇ…」 顔もしわくちゃで、髪はいまでもふさふさだが、白髪のほうが多い 「あいててて…」 自らのなんと年老いたことか、しかし、それが普通なのだ、それが…自然なのだ 「さて…行くかな…」 また、歩き出した 「あれ?○○さん?」 竹林を歩く途中、そいつはいた 「…妹紅」 「どうしたの?妖怪が出るのに一人で出歩いて、危ないじゃない」 ああ…昔と変わらず…綺麗だなぁ… 「ふふ、今更妖怪に食われたって、そんなに変らんよ、もうすぐ俺もお陀仏だしねぇ…」 「また同じこと言ってる…○○さんが死んだら、悲しむ人がいるでしょ、ほら、家まで私が送ってあげるから」 こいつは…昔の俺への接し方と、全く変わってねぇなぁ… 「まあ待て、妹紅、実はな、今日はお前に話があって、探してたんだ」 ああ、年甲斐もなく心臓がバクバクする 「わ、私に…話?」 「ああ…ま、場所はどこでもいい、ここでもいいさ、五分程度で済む」 俺の真剣なまなざしを受け取って、妹紅はまじめな表情になった 「…俺が、こっちに来てさ…いろんな人に世話になったな…」 「え…うん…」 「紅白に金まきあげられたり黒白を窃盗罪で告訴したり…強制的に入信させられそうになったり…」 「○○…」 「夜の散歩で死にかけたこともあったな、主に貧血で…思い出せばきりがない」 ああ、昔のことが鮮明に、走馬灯のように、脳裏を駆け巡る 「そんな思い出を俺はこの幻想郷で色々もらったんだけどなぁ…」 「やめてよ○○…これじゃまるで…」 「そんないろいろな思い出の中で、俺が一番よく覚えてることは、なんだと思う…?」 「まるで遺言みたいじゃん、縁起でもないから、やめてよ…」 「妹紅…お前と初めて出会ったときの、お前の姿、美しさ、脳裏に焼き付いてる…」 「やめてってば…」 「煌々と輝く炎の翼と尻尾、それに照らされるお前の銀色の髪…夜の黒を赤く染め上げていたお前の姿…」 「ねえ、○○…やめてよ…」 「まあれが俺を妖怪と勘違いしてなきゃもっとよかったんだけどさ…その日から…だったな、俺のここでの暮らし…」 「やめてよ!!」 「人里に家を建てて新築祝い、そのまんまずっと独身だったけど…俺は楽しかったぜ…なんたって…いい女が毎日遊びに来てくれたからなぁ…」 「○○…お願い…やめてよ…」 泣き崩れる妹紅…ああ、これは俺地獄行きだなぁ…惚れた女を泣かせちまった 「そう、俺はお前といろいろ話をした、お前にいろいろ教えて、教えられた…でも一つだけ言ってなかったことがある」 「…」 「妹紅、初めて見た時からずっと、お前のこと、俺は好きだ…」 「…遅いよぉ…」 「年取ったら度胸がつくもんだなぁ…昔の俺はお前を見たら心臓バクバクしてたんだ…」 ああ…なんか、伝えたいこと伝えたらホッとしてきた… 足の力抜けちまったよ…あ、やべ、倒れちまった 「○○!?」 「ああ…相変わらず、お前、綺麗だなぁ…」 すげぇちかくに妹紅の顔がある…昔の俺なら顔から火が出てただろうなぁ… 「ねえ、○○!?どうしたの!?」 「妹紅…お前に聞きたいことがあるんだ…」 「○○…お願い!死なないで!!」 「お前は…俺のこと…どう思ってたか教えてほしいんだ…」 「死なないでよぉ…最後の最後で思い人に告白されて…そのまま逝くなんてずるいよぉ…」 ああ…世界で一番…俺が逝ってほしかった言葉… 「へへ…そうか…俺ってやろうおは大馬鹿だなぁ…こんないい女に思われて、それに気付かなかったたぁよぉ…」 「○○…お願いだからぁ…」 「やめろよ妹紅…手をそんな強く握ったら…いてえじゃ…ねぇ…か」 ああ…言いたいこと言いきって眠くなってきた 「○ !!ね !目 けて …」 もう何言ってるかわかんねぇほどまどろんできたなぁ… 「 !! さま よ !!」 ちょっとひと眠りするから…静かにしてくれよ… 「 !! !!」 そしたら…もっとお前といろいろ話したいことが… ―――――――スキマ――――――――― ○○の生き返る話をかこうと思ったけど、これはこれでいいかなーっと思って… 駄文だな―… 新ろだ2-089 ○○「キスをしようと思う」 妹紅「はあ」 ○○「やっぱり恋人同士のイチャイチャの基本と言えばキスだと思うのだよ。ディズニー映画だって最後はキスで締めるぐらいだ」 妹紅「ディズニー映画ってのが何なのかよく分からないけど、ようはイチャイチャしたいわけだね」 ○○「そういうこと」 妹紅「何度もしてきたことなのに、何を改まって」 ○○「何度もしてきたからこそ、新しい発見も必要だと思う」 妹紅「……そうか」 ○○「色んなキスを試せば、俺たちの関係の刺激にもなるだろ。だから、キスしたい。いいか?」 妹紅「……そんな、真顔でキスしたいなんて言われるとちょっと恥ずかしいんだけど、それに」 ○○「拒否しない以上、OKと判断する。というわけでまずはこれだ」 妹紅「んっ……」 ○○「……」 妹紅「……んはぁ。い、いきなり何を」 ○○「唇を合わせるだけの軽いキス。まあ、軽いジャブみたいなもんだ。恋人同士の挨拶にも近い」 妹紅(……いきなりやるのはずるい。ドキドキする) ○○「単純だけどなかなか奥が深い。特にキスしてる時間が重要だ。長い時間やると、けっこう効果的なもんだよな」 妹紅「そ、そうだね」 ○○「次にこれ」 妹紅「ちょ、待っんん! ん……ちゅ、ン……」 ○○「……」 妹紅「はぁ……ん、こ、このバカ……だからいきなり過ぎるってば」 ○○「そんな文句は華麗にスルー。今のは唇を合わせつつ、相手の唇をついばんだり、はむっってしたり、舌で舐めたりしたものだ」 妹紅(唇がじんじんする……頭もなんだかぽーってしてきて) ○○「動きが加わった分、刺激も増すよな。それがなんだか気持ち良い。だろ?」 妹紅「う、うん……」 ○○「じゃ、次はもう少し攻めてみよう」 妹紅「だから少し待っんぁ! あ、んは……ちゅく……ん、んん!」 ○○「今は舌動かしちゃダメだ」 妹紅「け、けど! んん……ぴちゅ……そ、そんなとこっ!」 ○○「……ん」 妹紅「んはぁ……はぁ、はぁ、○○、激しすぎ……」 ○○「ふぅ。妹紅の口に舌をねじこんで、唇の裏とか歯茎を舐めてみた。ただし、妹紅の舌はあまり攻めてない」 妹紅(も、もう、腰が抜けそう……) ○○「これのポイントは攻め手と受け手がはっきりしていている所にある。受け手は基本的にされるがままだ。今の妹紅みたいに」 妹紅「お、お前が動かしちゃダメって」 ○○「よしよし、ちゃんと言うこと聞いてくれてありがとう」 妹紅「あ、頭撫でるな! 怒れなくなるっ……!」 ○○「ははは。やられっぱなしの受け手は、防御のできてないボクサーみたいにダイレクトにキスの快感を受け止めてしまう。 だから不意打ちには効果的なキスの方法だな。上手にやれば簡単に相手をノックアウトさせられる。うん、ノックアウトされた妹紅かわいい」 妹紅「っ~~バカ!」 ○○「よし、そろそろ本気でいこう。これだ」 妹紅「あっ、んちゅ――はむ!」 ○○「妹紅……」 妹紅(あ、そ、そんな同時に頭を撫でられるとますます――!!) ○○「舌、動かして」 妹紅「ふぁい……ちゅ……れろ……ンちゅ、ら、らめ……んああ……あ、ん……ちゅ、ああ」 ○○「ん……はい、おしまい」 妹紅「ちゅ……はぁ、はぁ」 ○○「互いに全力で相手の唇と舌を求め合う。多分これが俺たちの間での本気だな」 妹紅(ぁ……もう何も考えられない) ○○「相手を一番身近に感じられるキスの方法だと思う。やりすぎるとどっかの魔法使いに『そこまでよ!』って言われそうなぐらい、激しいけどね」 妹紅(だけど、足りない。もっと……) ○○「舌の絡ませ方がポイントで、これにも色々と方法が――妹紅? 赤い顔して呆けて、どうした?」 妹紅「……○○ぅ」 ○○「ん?」 妹紅「もいっかい……」 ○○「んー……けど、新しい刺激を発見できてない」 妹紅「そんなのどうでもいい……はやく」 ○○「あらら、スイッチ入っちゃったか。分かった、それじゃあ」 ○○「どんなキスがいい?」 ※ チル裏 バカですみません 新ろだ2-115 桜の花見に行こうと僕の手を引いた君の笑顔。 「仕方ない」と返事をしたけれど、本当は友人に着せられたという白と紅の着物に目を奪われていた。 「お酒はやっぱり必要だよね」 酒瓶入った風呂敷を僕に持たせ、君は先を行く。 履きなれないのがむしろ楽しいのか、カラコロカラコロ音を立て。 かんざしで纏め上げた白髪が揺れるさま。僕はまた見惚れてしまう。 人里を抜けていく道すがら、君の姿を見て振り向いた人達は何人いたろう。 微かに香る花の香りは匂い袋のものか。草原を歩いていてもその香りが君の存在をどこまでも浮かび上がらせる。 「遅いよ!」 「はいはい」 飛べば早い。そんな言葉はただただ無粋。君も僕も口にしない。 ひいこら風呂敷背負う僕を、君は華の咲いた笑顔でからかう。 君が先行く理由、それはきっと僕の追いつこうとする姿が好きだから。 僕も君の後姿目指して踏み出すことは嫌いじゃない。 一度過ぎた時は還らない。だから君は全ての道を先行く。 けど、たまに掌が物足りないのはお互い様。 足止め振り向きこちらを向いた君の寂しそうな笑顔。 追いつけば、どちらともなく手を出し繋いでゆく。 着物の袖が僕の腕をくすぐる。近い距離、僕も君も赤らんだ顔が収まらなかった。 かつて距離が空いていた分、今こうして一緒にいることにいつまでも慣れない。 「ほら、あれ!」 突然手を離した君がカラコロ走って指差した先に桜色の雨。 川辺に一本だけ咲いたその大木は、君を笑顔にする十分な美しさ。 陽光を反射する川面が、より強く桜と君を輝かせる。 石の上、僕の上着を敷いて君を座らせ。 酒で杯を満たし、「乾杯」と今日のこの時間を祝う。 空の青が映り込んだ酒は少し苦かった。 大木の下、風が強く吹けば桜色の雨が降る。 花びらが君の髪を彩り、その秀麗さをからかうように僕は笑った。 笑うなと膨れっ面をした君は僕の肩にもたれかかる。 肩から感じる君の温かさは、燃える炎のように熱い。 それが心地よく、そのまま言葉も交わさず時は過ぎていく。 頬を撫でる風にくすぐられ、僕も君もふと笑った。 酒は飲み干し桜を見る。頭上に広がる桜色の雲。 一度枝を離れた花びらは二度と元に戻らず、その無常さを憂いて僕達は寄り添い合う。 「来年も再来年もまた一緒に」 君の呟きは耳に心地良い。 思わず口を噤んで聞き入ってしまう。 けど一緒にいる一秒を無駄にしないために、僕は言葉を紡ぐ。 「じゃあ、十年後も二十年後も?」 「もちろん。三十年後も四十年後も」 「桜は残ってるかな」 「残るよ。花は散れども時は巡る。巡り巡って花は咲く」 「百年後は? 桜は残ってないかも」 時は過ぎる。過ぎ去る時の中で変わるものは確かにある。 そんな意地悪な質問。君は動じず答えた。 「私の髪についた花びらを肴にするよ」 逆に僕の方が驚いた。やっぱり君はどこまでも先を行く。 君が手を重ねてくれなければ、僕は君の想いの強さに打たれてただ泣いていた。 僕はしっかり手を握り返し、君の想いに応える。 「だったら、もっとたくさん花びらをつけないと」 紅の差した頬に触れれば、赤い瞳は閉じられる。 風に吹かれて僕達の距離は零になる。 慣れないけれども幸福な時間。過ぎ去ろうとも時は巡り巡る。 また来年。この桜雨を見に来よう。君と共に。 重なり合う一秒を何百万回と繰り返すために。 新ろだ2-169 現在、俺と妹紅は一台のDSを隔てて向かい合わせに座っている。 お互いに正座し、一言もしゃべらない。 タイトル画面で和やかな音楽を奏でているDSが妙にもの悲しい。 そのゲームのタイトルはもちろん「ラ○プラス」。 最近幻想郷において、このゲームがきっかけに様々な異変が起きているらしい。 主に恋人達やそれ以前の関係の男女、もしくは三角、四角関係の男女たちの間で愛と嫉妬にまみれた争いが起きている。 なんでもこのソフトを所有していた男性は、ことごとくひどい目に合っているとのこと。 そんな異変について耳にした俺は、いち早くこのゲームを枕の中に隠していたのだが(興味本位で買ってしまった)。 このほど、妹紅に見つかってしまいましたとさ。 「○○」 「は、はい」 真顔のままの妹紅。 DSをじっと見つめたまま口だけを動かす。 「このゲームの良い点は何?」 「え? 良い点?」 「いいから答える」 「ひゃい!」 静かで底知れぬ迫力が、じわりじわりと俺の心を地獄の淵へと追いやっていく。怖い。 「えーと、ですね。女の子と仲良くなるまでの過程だけでなく、恋人同士になった後のイチャつきっぷりを楽しめるというかですね」 「……イチャつき」 「恋人になったネネさんがこっちの好みに合わせて髪形とか性格とか変えてくれたりして、男心を刺激しまして、はい」 「……ネネさん、ね」 やばい。色々やばい。具体的に言うと部屋の温度が5度ぐらい上がってるのがヤバイ。 「○○」 「ひゃい」 「私達の関係を言葉で表すと?」 「俺のうぬぼれでなければ、こ、恋人です」 「そうだね。私もそう思ってるよ」 少し優しい声を出した妹紅。 しかし騙されるなかれ。その顔は真顔のままだ。 「……私とはイチャついてないかな」 「そ、そんなことはありません。日々妹紅に抱きついたり抱きつかれたりしております」 「私は○○の好みに合わないのかな」 「いえいえ、綺麗なお顔も白い髪も、ちょっと粗野だけど、クールで優しくて繊細なその心も俺の好みばっちりでございます」 「じゃあ、このゲームの良い点と私の良い点だったら、どっちが上?」 「それは、えとですね、そういうのは比べられる問題じゃ」 ない、と続けようとした所で、妹紅の目がギラリと光った。 まずい。本格的に燃やされる。主に俺と俺の家が。 「妹紅でございます」 一転、俺がひたすら頭を下げると、妹紅は満足いったように「よし」と頷いた。 「じゃあ、○○」 「ひゃい」 「このゲームで、何時間ぐらい遊んだ?」 「えーと、まだ始めたばかりだからそんなには……正確な時間はちょっと」 「その1万倍」 「は、はい?」 「その1万倍、私とイチャつくこと。分かった?」 「ぎょ、御意」 俺が冷や汗をかきながら同意した所で、ようやく妹紅が笑った。 「まあ、現実の浮気じゃないだけマシだけどさ」 「そ、そうですか?」 「うん。だって浮気だったら……○○がそれはそれはひどいことに」 そんな可愛らしくウインクしながら物騒な言葉を口にしないで欲しい。俺の背筋が凍るじゃないか。 生命の危機を感じて動悸、息切れすら出てきた俺に対し、妹紅はDSを取り上げ、電源を切った。 「このゲームは1ヶ月ほど没収」 「え、えええ!」 「なに? 文句ある?」 「いえ、ありません」 「よろしい。じゃ、今日は甘味屋にでも行こっか。○○が好きなだけ奢ってくれるなんて、嬉しいなー」 「そ、そんな」 「違うの?」 「いえ、違いません。どうぞ好きなだけお食べください」 駄目だ。もう完全に優位に立たれてしまった。 1ヶ月はこんな仕打ちが続くのだろうか……と俺が己の身の不幸――いや、身から出た錆びを嘆いていると、妹紅がおもむろに俺の目の前に立ち、 「帰ってきたらさ、○○のしてほしい髪型とか服装とかしてあげるかも、ね」 ちょんっと俺のおでこをつついた。 額に広がる温かな感触。ああ、どうして俺はあのゲームを買ったのだろうか。 やっぱり妹紅最高と思う今日この頃なのであった。
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仲間 へ戻る 基本データ RANK 種族 守備 属性 状態異常 好相性 使用 弱点 耐性 使用 弱点 耐性 無効 R4 人間 後衛 投 炎光無 対植物 - - 狂 - - - S=スクロール 武器 防具 専用武器:妹の弓 弓杖 服 軽装 帽子 特殊能力 特徴 特技 黒文字:攻撃 紫文字:攻撃補助 茶文字:防御補助 青いセル:TP技 武器 名前 範囲 効果 コスト CP 備考 - スカイロッド 六体 投擲物魔依存 高威力 会心有り 貫通力低い MP250 お許し下さい! 全体 投擲魔法 高威力低燃費 会心有り 自分以外の味方一人を犠牲にする MP25 - シスターサーバント 自分? 攻撃力・魔法力大上昇 後攻発動 MP20% エンチャント:狂気 味方全体 通常攻撃に狂気付与 4ターン MP50 キチレコ 敵味方全体 狂気付加 MP5 - マタビオ体操 自分 防御・魔法防御上昇 攻撃力・魔法力低下 MP40 CT4 ワカメ 自分 物理回避上昇 狂気状態になる MP30 タミフル 自分 物理・魔法回避上昇 使用すると狂気状態になる MP30 CT4 ステキダワー 自分 運・俊敏性上昇 使用すると狂気状態になる MP30 CT4 妹バリア 自分? 使用ターン、魔法攻撃無効化 速度補正500 MP30% - 賢妹「オーマイシスター」 味方全体 魔法無効化 状態異常ほぼ無効 速度補正2000 TP100 - 魔法 黒文字:攻撃 紫文字:攻撃補助 武器 名前 範囲 効果 コスト CP 備考 - なまこワンワン 単体 投擲魔法 会心有り MP35 いつもの掟 全体 投擲魔法+狂気 会心有り MP125 盛大にやろうぜ 敵味方全体 炎魔法 高威力 会心有り 反射貫通 MP85 らりるれ火事だー! 単体 炎/対植物魔法 会心有り MP20 妹ビーム 単体 光魔法 会心有り MP30 ちゃだためあたま 六体 光魔法 高威力 会心有り 味方に当たることもある MP150 萌え萌えキュンビーム 全体 MP40 ICBM 二体 光/投擲魔法 会心有り MP80 客星の竜たる子 単体 光/投擲魔法 会心有り かなり貫通力が高い MP200 アルファガン 単体 光/対植物魔法 高威力 会心有り MP60 妹メテオ 三体 投擲魔法 MP125 サンダナパレス 全体 MP100 妹ドレイン 単体 MP吸収 虚無属性 MP0 CT2 - ルナティック 全体 狂気状態にする MP50 名前 コメント すべてのコメントを見る